
−読者の皆様へ−

解散、総選挙、法案可決と、2005年の夏を騒がせたのが「郵政改革」でした。そして、秋の訪れとともに、テレビ、新聞、雑誌は、「郵政改革はもはや、終わった話だ」と言わんばかりに報じるのをやめてしまいました。
しかし、「郵政改革」は決して終わっていません。郵政事業が「国営の頚木<くびき>」からも、市場からも律せられることのない不思議な民間企業になるからです。本書の第一の目的は、その不思議な企業の将来像を予測し、描き出すことでした。また、誰がそうした路線を敷いたのか、そこにどのような葛藤や駆け引きが潜んでいたかという、日本郵政誕生の表と裏をリポートしてみました。そのシワ寄せが、遠からず、一般企業や国民の身に降りかかることも示唆したつもりです。
もはや、時計の針をもとに戻すことはできません。しかし、日本郵政が本格的な市場支配を始める前の段階、すなわち、スタートラインにいる今こそ、これから起きようとしていることの実態を知り、軌道修正を要求できるラストチャンスだと、私は考えています。
だから、一人でも多くの方が本書を一読して、次に何が必要かを考える一助として下さることを、筆者として切望しています。

−「はじめに」より−

“改革”に希望を抱いている方には、冒頭からいささか残念なことを言わなければならない。今回の民営化の枠組みでは、電電公社や国鉄の民営化のような恩恵が実現すると期待しない方がよい。むしろ、民営化の弊害こそ、懸念すべきである。というのは、民営化するならば、当然やるべき措置が、今回はすっぽり抜け落ちているからだ。……小泉政権は、民営化という政治的な功績を急ぐあまり、そうした措置を講じないことによって、郵政官僚の反対を押さえ込むという選択をした。つまりは、独占力、市場支配力というアメを日本郵政に与えたのである。

章立て(「目次」より)

はじめに
1章 武器としての郵便独占
2章 群がる金融機関
3章 元祖・郵政族――首相の原点
4章 異色の郵政大臣
5章 官僚、族議員の逆襲
6章 郵便の全面開放
7章 道具に使われた「民営化」
主な参考文献と参考ホームページ
おわりに

−書評−

東京新聞
(2006/3/12)
─「功績優先」。郵政改革の内実を暴く、迫真のノンフィクション。
週刊金融財政事情
(2006/2/6 東洋大学教授 中北徹)
─小泉構造改革の欠陥と盲点を指摘する警世の書
週刊エコノミスト
(2006/1/31 著者インタビュー)
月刊現代
(February
2006 慶応義塾大学経済学部教授 金子勝)
─この本は、たった一つの「常識」をくつがえすために、著者の全力が注がれている。
その「常識」は日本社会の隅々まで席巻し、人々の思考を支配している。
ここでいう「常識」とは、「官から民へ」という空疎なスローガンである。
テレコム・レビュー
(2005/12/15 “ミスター郵政省”の顛末記)
─小泉首相が郵政相時代に、“大臣苛め”をした五十嵐元
官房長に代わり、知恵のある團宏明・郵政公社副総裁が
“郵政のドン”にのし上がった。
株式新聞
(2005/12/7 新刊書紹介)
─「警世の書」である。既得権を保持したまま拙速に民営化
されようとしている背景が綿密な取材をもとに浮き彫りにされる。
週刊現代
(2005/12/31
経済アナリスト 森永卓郎)
─綿密な取材を踏まえて、郵政民営化で一体何が
起こるのかを、冷静に分析した好著だ。
日経金融新聞
(2005/12/20 自著 行間を語る)
─投資家には、郵貯の投信販売状況が株式市場の
需給を左右する時代が来ることや、日本郵政
株の売り出しリスクにも通じていただけるのではないか。
週刊朝日
(2005/12/23 兵庫県立大学教授 中沢孝夫)
三浦半島の元祖「郵政族」だった小泉家 不完全な郵政民営化は改革か?怨みか?
─選挙前から当事者の関心事はすでに民営化に際して公社の既得権益を
どれだけ残すかというところにあった。
そして彼らは希望するすべてのものを手に入れた。
日本経済新聞
(2005/12/11「今を読み解く」東洋大学教授 松原聡)
─郵便を中心に郵政改革を整理し、問題点を鋭く指摘している。
日本経済新聞
(2005/12/1夕刊『目利きが選ぶ今週の3冊』 中沢孝夫兵庫県立大学教授)
─★★★★ 郵政の民営化とは官僚の勝利だった…
国民の損失を犠牲にして小泉内閣は「名を取った」。
(★★★★:読みごたえたっぷり)
日刊ゲンダイ (2005/12/1『この本がいい!!』)
─郵政民営化にはパワー乱用のチェック条項なし
第2、第3の郵政改革が必要という主張には説得力がある。
通信文化新報 (2005/11/24)
─日本郵政公社の生田総裁や團副総裁、ヤマト運輸の山崎社長らにも
インタビューし、小泉首相の不幸な郵政との出会いや、“忠臣・竹中大臣”
の苦汁にも触れている。
共同通信 (2005/11/14号)に書評が載りました。
─小泉純一郎と旧郵政省の長年にわたる暗闘、「改革」という美名の陰で、
首相の歓心を 買おうとする政治家、官僚の功名争いを克明に描く。
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